東京香堂さんの、CIRCLEオリジナル・ミモザインセンスについて。
この一週間はおそらく、CIRCLEの一年の中でもとりわけドタバタする一週間な気がしますけれど、今年もまたそんな冬と春の合間を過ごせることが、嬉しく思います。
オープン当初は「どれだけ続けていけるだろう」と不安もありながらも、まずは3年なんて思ったりしたものですが。
いざ3年という頃になってみると、まだまだまだまだ未熟さばかりが際立って、もっと長く続けていけないと「お店やってます!」なんて胸を張れないなぁとか感じたりもする。
お店を開くことは夢でもあったけれど、夢は叶うと現実になり、その先にまた夢がふっと出てくる。その繰り返しを感じている、この3年。
今日ご案内することも、そのうちの一つだったように思う。そしてそれが叶ったから、また次のステップも見たいとか思ったりする。
本日はCIRCLE3周年の続き。
素晴らしいクオリティのインセンス(お香)を生み出してくれる、東京香堂さんにCIRCLEはお願いして、ついにオリジナルでミモザの香りのインセンスを作ってもらいました!!
取り扱いを始めた当初からずっと、「いつかオリジナルの香りを作りたいものですね」と話をしつつ、なかなか大変だったこと。
今はオンラインショップでご購入くださったお客様に、お届け時にちょっと紙に香りを染み込ませて、それも東京香堂さんに作ってもらった香りを一緒にお届けしています。
それはあくまでも液体として香水みたいなニュアンスで作ったもの。
そこからさらにイメージを膨らませて、火をつけて焚くお香にするには、なかなかに大変なハードルがあった。
ダイレクトに精油として、あるいは希釈した液体として楽しむ分には、溶媒に気を使いながら香りのバランスを見て、調合をしていけばまだやりやすい。(それでもミモザは、ものすごく大変な部類の香なのだけれど)
しかしながらインセンス、お香として火をつけて煙で香らせるとなると、そこにはまたまるで違う要素が幾つも入ってきて、一筋縄ではいかない。
固まったインセンスでは香りがしても、焚くとまた香りが変質するし、あまり出てこなかったり逆にやたら出すぎてしまうこともある。
そんなこんなを地道に相談しながら、ようやく「これはまず素敵な香りだ」と3周年に作れることになった。
今回の製作は、大きな釜を回して練って……ではなく、小ロットで東京香堂さんのアトリエで調合して、ハンドメイドで作ってもらった。
ミモザの天然香料の残りの量の兼ね合いもありましたし、大きな機械を回してだと30キロとか作らないといけない。さすがに30キロはもう、お香屋さんでも卸ならともかく小売だと一気にはしんどい量。
ハンドメイドで作ってもらった分、より味わい深い感じの製作になった。それは結果として良くて、暖かい感じもした。
そして東京香堂さんと話し合った結果、このミモザの香りは折に触れて、製作できるときにその分だけこうしてハンドメイドで作ろう!とそういうことになりました。なので、今回はその初のデビューロット。
東京香堂 CIRCLEオリジナル・ミモザインセンス 50本セット ¥4,000+税
常に継続して在庫を作って、というのが難しい理由は幾つもあって。
まず、ミモザの天然香料の価格がなかなか安定せず、その上やたら高い。東京香堂さんの香料の多くは、フランスはグラース・香りの本場から仕入れていて非常に品質が良いからそこを替えるつもりはない。
香りが優しいのにしっかりと香り、うるさくない。上品といっても良いかもしれない。でもその分、しっかり高い。
ミモザはその中でもさらに高い部類らしくて、なかなかこうしてインセンス(お香)にすることがないのは価格面のこともあるらしい。(巷でミモザの香りといっている時に、カクテルの「ミモザ」のイメージでというのは時折見かけるけれど、このオリジナルでお願いしたミモザは、リアルに花のミモザです)
その上、ミモザの香りは非常に調合が厄介だった。今回のインセンスも他の香りのオイルなどを実は30種類弱、一緒に配合してもらっている。
ミモザを前に出そうとしてもなかなか出なかったり、組み合わせによってはまるで違う香りに変わってしまったり。火をつけるとなおさらそういうことが多い香りだったそうな。
CIRCLEとしてはすっごく気軽に(本当に申し訳ないな、と今では思うけれど……)「ミモザの香り、良いですよね!花もかわいいし、革のタンニンにもミモザ使われて共通点あるし、何より個人的に好きだし!」なんてお願いしたわけだけれど。
ミモザのアブソリュート香料は扱いが大変で、普通に調合するだけでも一苦労で東京香堂さんの周りの調香の同僚や友人からも、「本当にミモザやるのか?」とちょっと注目だったそうで。
その大変さを正直、いろいろ試作しては相談を重ねていく過程で聞いて、「あ、だからヨーロッパとかではたまに見かけるけど、日本だとまずミモザそのものの感じのインセンスを見かけないのか……」と店主もちょっと反省した。
でも、反省はするけれどワガママは結局通して、なんとか頑張ってもらって。
パッケージもオリジナルでミモザのイメージのイエローに。
そして絵柄の部分もわざわざ1から作ってくださって……なんだかもう、申し訳なさすぎるけれど嬉しい。
ミモザの花をイメージにMの記号とともに。
ミモザのインセンスは基本的にはこの50本セットでご案内となります。
地味にこうして、CIRCLEと東京香堂さんの協力の賜物、としてのロゴも。
はじめは店主があまりに執着がなくて「いやー、うちのロゴとか別にいらないですよー」なんて言っていたけれど、なかなかに周りから「せっかく時間かけて生み出すのにアホか!」というツッコミが盛大に入りまして。
そう言われればそうか、と思い直してこうして淡く入れてもらいました。
スリーブを取ると、こんな風にシンプルな感じです。
ちなみに、今回はこのインセンス8セットほど作れました。もうちょっとできるかなと思いつつも、昨年仕入れてもらった上質なミモザの香料が、もうそれで最後だった。
というわけで、今回のロットは8セットのみとなります、ご了承を。
開けるとこんな具合に、50本。
ミモザのインセンスは色はつけずにシンプルなナチュラルカラーに。
黄色い色をつけよう!なんて初めは言っていたのですが、ミモザの香料の繊細さがすごくて、色付けの材料の何を入れても混ぜてしまうとミモザの香りがまるで変わってしまった。なんてじゃじゃ馬なアブソリュート。
色が綺麗でも香りが変になってしまうんじゃ意味ないよ、ということでナチュラルのまま行くことに。
ミモザの香りはフローラルで優しいけれど、しっかり強さもある。また甘いだけではなくて、どこか草っぽい爽やかな空気も感じさせてくれる。
さらに東京香堂さんと話していて、「ミモザの咲くところにかかる、心地よく照らす太陽のようなニュアンス」もあるとより際立って美しいね、ということでそれを表現できるまた別の贅沢だけど相性の良い香料も盛り込んだりして。(ジュナって言ってたかな……)
なんというか、春を感じさせるような暖かさと優しさ。どこか凛とした強さがありつつ、華やかな香り。
でも元気はつらつ!というイメージだけでなく、しっとりとお香らしい落ち着いたニュアンスのベースに入れているので、ほっとする。
ゆったりとこの匂いを楽しみながら、そのうちに楽しい思い出や幸せな感情が自然と胸に沸いて、「よし!今度の休みは心地よく風に吹かれてこよう!」と思えるようなそんな感じ。
とても素敵な香りになりました。
正直ミモザの香料にしても混ぜた他の香料にしても、「香りのイメージ」を追求しすぎて、やたら良いものばかりを使うことになってしまった。
製作ロットがうんぬんの問題でなく、単純に材料の問題としてラグジュアリーなインセンスになった。
まぁそれでも香りが良い方がとCIRCLEは思いつつ、また東京香堂さんも「できる限りギリッギリで頑張ります」なんて言ってくれて。初めは「利益なしでこの価格に抑えて……」と言い始めたのでいや、最低限の利益はちゃんと取ってください、さすがに!と止めた。
正直、インセンスとしてはちょっと贅沢にはなったけれども、他にはない香りとして愉しんでいただけたらと思っています。
燃焼の時間は大体13分前後。しっかり焚いて、空間にふわぁっと広がっていきます。
火をつけて焚くと、その香ばしさもまた加わりインセンスをそのまま香った時よりも深さが出る。
店主としてはもちろん焚いても素敵なのだけれど、このインセンスの塊のままいろいろに忍ばせて香りを楽しむのも素敵だと思っている。
タンスの中に入れたり、お手洗いに置いてみたり、お財布や名刺入れの中に忍ばせてみたり。
もちろん旅行や出張の時に「いつもの感じ」になるように持ち運んでみたり。使い方は人それぞれでさまざまって良いのかな、と。
ちなみに、ハンドメイドで作ってもらってカットもお願いしているので、ほんと微妙にですが1本1本長さがちょっと違います(笑)。
一応、普段の東京香堂さんのインセンスと同じサイズで作っていますが、その微差はご了承ください。
また、カットも東京香堂さんのアトリエでやってもらっているので、柔らかい時にざっくり切る時に少し先がつぶれます。
もちろん香立てに収まる範囲内でちょっとまん丸から形が歪みますが、そこもご理解くださいね。
東京香堂さんの手作りの証、ということで。
ちょっとしたペーパーも入ってきます。
あれか、専門的に香り分類すると、sweet(甘さ)・floral(花のような)・green(緑の感じ)になるのか。
相談していた時もそのニュアンスが数多く口にしたから、まさにその通りという感じはする。
ほのかなみずみずしい甘さがあって、華やかでフローラルな広がりがあって、でもハーブのようなちょっとした苦味というか青さが香って……うんぬん、と。そんなスペシャルに抽象的なやりとりを店主と東京香堂さんで互いにかわしながら、出来上がった。
店主もささやかながらアロマは勉強してきたし、コーヒーやワインやお酒のニュアンスで香りは楽しんでいた。だからこそなのか「これが入るとちょっと泡っぽい感じがするね」とか「こっちは少しザラっとしすぎかな」とか言いながらやんややんやと盛り上がりつつ。
一般的な諸注意も書いてます。
東京香堂さんとは「今後はこのミモザのインセンスをどうするか」と話し合った。
近年ミモザの香料とそれに合わせたもう一つの代表的なのが、また価格も高騰してきている。(今回のは昨年仕入れた時の価格でできたので、まだ良い方らしいけれど。世界中、いろんなものが価格上がっていて、困りますね……石油みたいにちょっと落ち着けばいいのに)
そしてまた、ミモザはグラースでもなかなか貴重な扱いらしくて、希望する分の香料がこちらに取れるかも怪しい。しかも価格は毎年上下する。(為替にも大きく左右されますものね)
とはいえ、一気に30キロを作るのはさすがにCIRCLE的に厳しい。保管の問題も出てくる。10キロでという案も出たのだけれど、その工場の10キロ釜が今ひとつ安定してくれない。
そんないろいろがあって結局は。
年に2〜3回くらい、製作できるタイミングで作れる量だけ、こうしてハンドメイドで作って展開をしましょう、となった。
お互いにそれが一番クオリティと価格のバランスが取れて、やりやすいだろうね、と。
という具合でひとまず次の製作はまだ未定です。6月に東京香堂さんがまたグラースに香料の買い付けに行ってくれるので、その時にミモザのアブソリュートもお願いする。
その時に買える分量と価格によって、今後も流動的になるかなと思います。
もしかしたらちょっと多めに作れるタイミングがあるかもしれないし(クリスマスとかはそうしたいと願っているけれど、どうだろう)、価格はまた上がってしまうかもしれないし、ユーロが下がったりミモザがたくさん取れて安くなることもあるかもしれない。
そんななんだか不安定なオリジナル・ミモザとなりますが、ご理解賜われたら幸いです。
男女問わず、きっとリラックスしたり愉しんでいただける香りになったと思います。
昼下がりに、夜のリラックスに。あるいは、なんだか朝にやる気を出す時も素敵かもしれない。
もちろん普段の東京香堂さんの素敵な香りたちとともに。
CIRCLEオリジナルのミモザも、どうぞお愉しみいただけたら幸いです。
CIRCLE
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