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2014.04.27 Sunday

シュランケンカーフ(ドイツ・ペリンガー社)について その1

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     CIRCLEで取り扱いのある製品に関する素材について、それぞれを出来る限りご案内していく中で、やはり革素材はその種類もご案内することも多くあったりします。

     前回はCircus of Happinessで使われている英国産ブライドルレザーについて見て頂きましたが、今日は神戸のル・ボナーさんの製品によく使われている、ドイツ・ペリンガー社の銘革・シュランケンカーフについてです。

     巷にある発色の良い似たような革に比べて、飛び抜けて優れた品質の皮革です。今となっては、幾つかのブランドさんで見かけるようになりましたが、日本でこのシュランケンカーフを初めに使いだしたのは、他でもないル・ボナーさんでした。
     

     CIRCLEの店頭でも、とりわけ色味が綺麗なことで皆様に手にとって頂くことの多い、シュランケンカーフを用いたお財布やバッグ達。

     シュランケンカーフとは、別名ドイツシュリンクなどとも呼ばれ、1864年からずっとドイツにて皮革を鞣し(制作)しつづけている、老舗タンナーである「ペリンガー社」の代表的な皮革です。

     「シュリンク=収縮」、「カーフ=生後6ヶ月以内の子牛の革」とそれぞれが指しておりますように、革を鞣すさいにギュッと収縮させながら鞣された子牛の皮革。カーフは一般的にとても柔らかく、しなやかで革そのものの肌理が細かい革です。

     クロームなめし(鞣す過程において、クロムを用いる方法)の革の中でも、とりわけ弾力があり強く、傷が付きにくく、水気にも強い……というなんとも使い勝手がよく、優れた皮革。



     また、発色が良いことも特徴の一つであり、カラーバリエーションも豊富です。(細かいところは、もう少しのちほど)



     傷も目立ちにくいことから、特にバッグを仕立てる際にはうってつけの素材の一つ、と言えると思います。

     色々な大人の事情からはっきりとブログなどで記載は出来ませんが、某超有名メゾンブランドが昔から用いられているのは、やはりその発色と丈夫さによるところも大きいはず。



     革を収縮(シュリンク)させる、と申しましたが、こういうシボの入った表情の革を巷でもよく見かけるとは思います。

     つるっとした革をシュリンクさせる薬剤にしっかりとつけ込み、ギュッと縮ませているわけです……革の面積は20%ほども小さくなり、贅沢なことにはなりますが、その分の革がぎゅっと濃縮されるように密度が高くなりますので、しなやかでありながら非常にタフな革になります。

     ところが、日本で一般的に「シュリンクレザー」として出回るものの多くは、実はほとんど薬剤にしっかりとつけていません、あまりシュリンクさせていないにも関わらず、「シュリンクしている風」にするために、型押しをしているケースが多いのです。
     それでは見た目にシボはあっても、結局革が縮んでいないのでシュリンクレザーとしてのタフさや良さはありません。

     ペリンガー社のシュランケンカーフは、そのシュリンクをものすごく丁寧にしっかりと行っており、決して型押しを併用することはありません。きっちり、薬品のみでギュッと縮める。これは時間もコストもかかりますし、なかなか大変なこと。

     だからこそ、他のシュリンクレザーに比べて、このシュランケンカーフが上質に感じられるのもうなずけます。



     そんな風に、薬品によりギュッと縮める際にも、革そのものの原皮の差や、シュリンクするロットの差などにもより、表面のシボ感には、やはり個体差が出てきます。

     一枚の大きな革の中でも、右側と左側、上側と下側、あるいは真ん中と端の方など、それぞれ少しずつ異なる表情になってきます。これも、シュランケンカーフがしっかりと薬品のみでシュリンクをしている証明。型押しを併用している革は、基本的にどれも均一的なシボになりますので、同じ革で制作したものがズラリと並んでいるのに、仮に個体差が全くないとすると、やはりそれは本当にシュリンクとはいいがたいところがあります。
     (もちろん、あえて表情が均一になるように、そういった部分の革だけを使用するという例外はございますけれど……それでも、それなりに差は生まれます)

     上の画像は、いずれもシュランケンカーフのトープのもの。左はシボがとても細かく、右側はやや大きめ。ちょっと分かりやすい状態のものをあえて並べてみています。同じシュランケンカーフといえども、このように差があるのも面白いものです。

     シボの大きい小さいに関しては、好みが分かれるところかとは思います。シボが細かく滑らかな風合いも確かに素敵ですし、シボが大きくてしっかりとしたシュリンクの表情が陰影で出るのも素敵。

     基本的な革の性質などには特に大きな差はありませんので、まずはその見た目の好みは大切かなとCIRCLEとしては思っています。



     いずれにせよ、きっちりとシュリンクをされたシュランケンカーフは、非常にタフ。

     傷にはめっぽう強く、数年使用して頂いてもほとんど傷がついてないモノが多いです。実際、店主が使っていた時も、わざと傷をつけるくらいの何かがないと、そうそう傷は目立ちませんでした。

     非常に弾力がありますので、ちょっとしたスレなどではほとんど気になる間もなく、ふっくらと復元します。

     また、同時に汚れが付きづらいことも、使い勝手としては非常に楽かもしれません。もちろん、全く汚れないということはありませんが、黒ずみなどが付きにくく、基本的には初めのころの発色が数年経ってもしっかりと愉しめます。



     仮に汚れることがあっても(個人的には、自転車のタイヤに挟まれたときくらいでした、まともに汚れたのは……)、水分に非常に強い革ですので、水で濡らした柔らかい布でザッと拭いてしまってかまいません。

     むしろ、ご使用頂きながら半年か年に一度くらい、水拭きをして頂くと、パッとは見えていなかったホコリなども除去出来ますし、より革が綺麗に保てます。

     「水拭き出来るほど水気に強い」ということは、同時に「雨にも強い」ことをさします。おすすめするわけではありませんが、雨の際にも濡れても問題なく愉しめます。特に表情が崩れることもなく、革そのものからの染み込みもほとんどありません。

     あ、ただ雨に打たれた際には、その後にしっかりと乾拭きなどして頂き、雨の汚れや水分は取り除いて上げてくださいね。



     綺麗な発色を保てる……と申し上げましたが、分かりやすい例として、こちらを。

     いずれもル・ボナーさんの紐財布ですが、上は未使用の新しいもの、下が数年(3年ほどでしょうか)使用をしたサンプルとなっています。

     革のロットや経年変化による若干の色の差はもちろん無くはないですが、オレンジの美しい発色がまだまだ愉しめる状態なのがお分かり頂けるかと思います。

     全体の雰囲気としてはむしろもっとふっくらと柔らかく、優しい風合いに感じられます。



     別角度で見てみると、そのふっくらと弾力のある感じがよく見えます。シュランケンカーフは使用を重ねることで革のふくよかさがさらにまし、よりしなやかに使いやすくなる皮革。

     また、表面はうっすらと淡い光沢が包み込むように変わっていきます。この優しい艶感も綺麗なものです。

     いわゆるタンニンなめし(ブライドルレザーやイタリアのブッテーロなどはタンニンです)のギラリとした強い光沢も美しいものですが、また異なる風合い。



     使用前で……



     使用後。こういうのも変な話ですが、数年使った方がとり魅力的に感じられます。

     やはり、革は使っていくその方それぞれの味わいが出てきてこそ、素敵なのですね。



     ところで、シュランケンカーフの魅力は革の質だけでなく、やはりカラー。

     この発色もペリンガー社の独特な技によるものです。本来、革の染色は「染料(革に色を染み込ませる)」と「顔料(革の表面に色をのせる)」によって行われます。

     染料で色をつけると革の内部までしっかりと色が染まり、革そのもの風合いを生かしたものが出来ますが、その代わりにヴィヴィッドな色や華やかなカラーなどは表現できません。

     顔料で色を乗せると、その逆で発色は豊かに様々な色を表現が出来ますが、革の本来の風合いはまるでペンキを塗ったように損なわれてしまいます。
     よく、べたーっとそれこそペンキを塗ってみました、というような色の革はたいがいがこの顔料です。

     シュランケンカーフはその両方を併用し、初めにしっかりと革の内部までベースとなる色を染料で染み込ませ、その上からごくごく薄く発色豊かな顔料を乗せることで、「革の風合いを出来るだけ残しつつ、美しい発色をつくる」ことが出来ています。
     その染色のバランスや技法は、他のタンナーはそうそう真似することが出来ないもの。



     そんな独自の染色を出来るからこそ、シュランケンカーフはバリエーションがとっても豊富。

     青だけでもたくさんの種類がこれまで存在しましたし、CIRCLEの店頭にあるル・ボナーさんの製品だけでも既に8色以上のカラーが……。



     このカラーバリエーション。現在、定番として存在している色は10色ちょっとほど。

     ブラック・ネイビー・バイオレット・ジーンブルー・スカイ(薄い空色)・オレンジ・ライトグレー・トープ(ベージュっぽいグレー)・チョコ(焦げ茶)・ゴールド(キャメル)・ライムグリーン・イエロー……。

     そのどれもが味わいのある色で、特に明るい色などは普通の革よりも汚れなどを気にせず使える分、シュランケンカーフらしさがより愉しめるかもしれません。


     (ボナーさんのブログ、ボナーの一日より参照)

     ……と、それだけでも十分なくらいバリエーションがありますが、ボナーさんでは昔から革をストックしている分などがあり、少しずつではありますが過去に鞣されたことのある色や特別な色を、実は結構使われます。

     ずらりと並ぶカラーは、圧巻です。

     CIRCLEでも、珍しいカラーなどのものが製作された際には、やはり店頭でご覧頂きたいと思っています。
     (今あるものですと、ショルダーバッグ・オブレのダークグリーンなどは、やはり珍しい色味です)


     と、少し長くなりましたが、独特なシボ感と水や傷に強いタフさ、そして何よりも素晴らしい発色、そんな魅力をもった革がシュランケンカーフです。
     なかなか、ここまで良いカーフはありませんが、そのシュランケンカーフを「確かな技術で」「しっかりと使い勝手を考慮した形で」「長く愛して使えるように」作り上げることが、また大切です。

     ル・ボナーさんのバッグや小物はその辺りが、どこより素晴らしいと思っています。だから、他のブランドさんが似たような(あるいは同じ)カーフを用いていても、まるで別物。

     革は性質によって魅力や味も様々です。是非、愉しんで頂ければ嬉しいと思っています。



     CIRCLE
     
    コメント
    こんにちは昨日はありがとうございました。残念ながらクリントンのパンケーキは並んでて私の足ではあきらめましたが、リベンジはしてみますね。食いしん坊なので(笑)
    前回、プテイトートをお願いしましたが、追加でタンクトートも希望です。
    第1希望はライトグレーとトープのコンビ?
    第2希望がライトグレーです。
    せっかちですが気長に、待つつもりでいますので宜しくお願いいたします。

    ターコイズの紐財布に早速かえて、昨日の新月から使い始めました。
    手に馴染むのを楽しみにしています。
    • 豊田洋子
    • 2014.04.30 Wednesday 12:12
    豊田さま

    昨日は誠にありがとうございました!
    クリントンやはり並んでおりましたか……早い時間かむしろ夜などですと、意外と入りやすいのですが、お昼時はなかなか並べません、僕も(笑)。

    タンクトートは次の入荷が来月か再来月くらいにある予定です。
    カラーに関しては詳しく確認もしてみます。
    ライトグレーとトープのコンビは綺麗ですが、前に製作されたのでもう少し先の制作時になるかもしれませんが、その際にも必ずご連絡させて頂きますね。

    新月の日にお財布をおろすと、月が満ちるように運が満ちていって良いのですよね。
    馴染むころ、僕も愉しみにしております。ぜひ、拝見させて頂ければ!

    どうぞ、よろしくお願い致します。
    • CIRCLE
    • 2014.04.30 Wednesday 12:25
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