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2014.04.13 Sunday

スターリングシルバーを始めとした、シルバーについて その1

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     革素材も勿論のことながら、CIRCLEに並ぶ製品達では金属も多く用いられます。金属も近い見た目であっても実は少し異なっていたり、さまざまです。

     革素材のご案内などとともに、金属やその他の素材に関しても、ブログではご案内をしていければと思っています。

     まずは、金属の中でも最もCIRCLEの中で製品として使われているシルバーについて、です。

     「シルバー」と聞くと、一般的にパッと思い浮かぶイメージは分かりやすく「銀色」という言葉かもしれません。素材としての「シルバー」はいわゆる「銀」となりますし、色として「シルバー」と用いるならそれはアルミやステンレスや、ニッケルなどにも使われています。

     そのあたりを混同してしまっているシーンも巷ではよく見られますが(きちんと銀と思って手にしたものが、実はメッキや他金属なんてことも……)、ご案内させて頂くのは素材としての「シルバー・銀」です。

     銀といえば、紀元前の時代から人の世界では馴染みのある金属で、金に次いで延性や展性に優れていることから、アクセサリーや食器など様々な姿で愛されてきました。
     特にヨーロッパ諸国では「銀貨」というのも勿論定番でしたし、日本でもその流れから「スターリングシルバー」という名称が広く伝わっています。

     銀は化学変化を起こしやすいことから、昔から銀食器に使われ、何か異変があるかどうか察知するために用いられたり、現代ではその銀イオンの殺菌能力から様々な衛生用品にまで発展しています。

     しかしながら、やはり日常の生活で最も銀を身近に感じる瞬間は、アクセサリーなどではないでしょうか。CIRCLEでも経年変化の奥深さや、磨かれた銀の美しさに惹かれ、多くの製品で用いています。



     Joie Infinie Designさんの時計では、ケースや美錠をスターリングシルバー製で製作していたり……



     Kyoko Honda Jewelryでは、ツイストした形式でマットなスターリングシルバーでリングとなっていたり……



     あるいは、akihamaさんのアクセサリーのように、より複雑な加工を施されることも。

     これらも、銀の持つ「美しい金属でありながら、様々な方法で加工がしやすい性質」がなせる業と言っても過言ではありません。

     こんな風に美しい輝きを放つシルバーですが、同じシルバーでも実は違うものであったりもします。

     純銀とよく言葉では出て参りますが、本来の純粋な意味での純銀をいうなれば「銀が100%のもの」です。しかしながら、銀100%のものはあまりにも柔らかく、また変質しやすいため、一般的には用いられることはありません。基本的には「銀と他金属を一定の割合で混ぜたもの」を用います。
     それは金でも純金でアクセサリーなどは作らず、18金や14金というように、やはり他の金属を混ぜるのと同様です。

     そこで最も銀の中でも知られているのが、先ほども名前にあげた「スターリングシルバー」です。

     スターリングシルバーとはSilver925と表記されるように、「92.5%が銀で、残りは銅や他の金属」で出来たシルバーです。最も色などの変化が起こりにくく、加工のしやすい硬度と言われており、銀製と言われているものの多くがこの割合です。
     かつてはドイツやイギリスなどでこの割合にて銀貨を製造しており、イギリスでは法定割合となっていました。

     先ほどの……



     こちらもスターリングシルバーです。きっちりと硬さが生まれるため、時計のケースとするにはやはり良い銀の配合率。これを仮に純銀などで製作しようとすると、とても中のムーブメントは守れません。

     また、程よくゆっくりと色が変化していくさまも、アンティーク調の空気のある時計には、とてもよく合います。



     こちらのリングもスターリンシルバー。ねじったような形や、特殊な形状にも加工しやすいことが、スターリングシルバーの特徴です。特にこのリングでは表面をやや白くマットな仕上げにしているため、先ほどのスターリングシルバーとも雰囲気が異なります。

     では、スターリングシルバー以外に、どんなシルバーがあるでしょうか。

     世界的な分類でいくと、

    ・Silver800:ジャーマンシルバー。他の銀に比べて硬度がとても高くなるので、筆記具や一部のカトラリーなどで細かく複雑な加工をされる際に、用いられることが多いです。ただしジャーマンシルバーというと、一部では「洋白:銅やニッケルなどを混ぜたもの」の名称に使われることもあるので、「シルバーはっぴゃく」と呼ぶ方が分かりやすいかもしれません。

    ・Silver900:コインシルバー。イギリスやドイツ以外のヨーロッパ諸国の多くは、かつてこの90%割合のシルバーで銀貨を製造していました。一部、オランダやポルトガルなどの例外もありますが……。

    ・Silver925:スターリングシルバー。

    ・Silver950:ブリタニアシルバー。ものすごく細かくパーセンテージでいうと、95.8%にあたるシルバー。昔は日本でも、「銀」というとスターリングシルバーでなく、こちらのブリタニアシルバーのことを指していました。アクセサリーなどでスターリングシルバーが広く普及するようになってから、シルバー=スターリングという流れになりました。

    ・Silver1000:ピュアシルバー、純銀。いわゆる100%の銀ですが、これを実用に使うことは多くありません。柔らかすぎますので。一部で用いられることはありますが、かなりレアなケースと思います。

     ……と、パッとあがるだけでも色々とあるシルバー。さらには混ぜる金属を銅でなくプラチ色をにしたプラチナシルバー、色を変えるように混ぜたイエローシルバーやピンクシルバー、グリーンシルバーなんてものもあり……なかなかの汎用性です。

     と、そんな中で、



     akihamaのアクセサリーはいわゆる昔ながらの銀、950のブリタニアシルバーを用いています。スターリングシルバーよりもやや輝きが強く、柔らかいシルバー。彫りやすい、と言えば柔らかいのでそう思いがちですが、「柔らかい金属に繊細な彫りを施す」というのは、むしろかなり難しいことだったりします。

     これだけの細かな加工を施す場合はむしろ、シルバー800などを用いる方がやりやすいはずですが、その辺りはやはり秋濱氏の技術の素晴らしいところ……という。

     シルバーはそれぞれのイメージに合わせて、合った配合率のものを用いることで非常に魅力的になります。

     ちなみに、シルバーの製品にはその配合率やシルバーだよ、という刻印を入れることも……



     これは筆記具の一部ですが、925と数字表記。モノによってはホールマークと呼ばれるその国ごとのスターリングシルバーのマークなどを刻印されることもあります。



     akihamaの場合は、silverとシンプルに表記されています。(小さくてすいません……)

     輝き、色の変化、時をともに過ごす金属としてはシルバーはやはり非常に面白い。

     ……と、その色の変化は好みが分かれるところ。シルバーは空気中の硫黄成分(二酸化硫黄など)と化学反応をおこし、少しずつ硫化していきます。その硫化は次第に黒ずみとして現れるようになってきます。

     その変化を、経年変化の味として愉しむこともあれば、変化を戻して元の輝きを取り戻すことも出来るのが、シルバーのまた良いところと思っています。



     例えば、こちらはスターリングシルバーで出来たパーツ。ずっと磨いたりすることなく、自然のままにしているとこんな風に色が変わっていきます。まるで燻したような雰囲気になるので、これはこれでシルバーとして良いのですが……



     専用のシルバークリーナーなどを用いると……



     こんな風に、元の輝きに。これが手軽に出来るシルバーは、愉しいものです。逆に、色をつけたい時には硫黄成分に反応させれば良いので、硫黄系の温泉につかったり、専用の燻し液などで黒くすることも出来ます。

     ところで、このクリーナーですがFacebookなどでも少しお話に出ましたように、頻繁にこれで綺麗にするというわけではなく、普段は目の細かい布で乾拭きして頂ければ、シルバーのお手入れは十分です。

     それでも経年変化で色が変わっていく際に、戻す手段としてのクリーナー。

     これも、液体・乳液状のクリーム・布と色々なタイプがあり、それぞれで特性が異なります。

     CIRCLEでは、アクセサリーなど細かな装飾がなされているものには液体を。時計などのように、凹凸の風合いが出た方が面白かったり、水分につけられない場合は布を、水にもつけられない上に表面がものすごくツルツルな場合はクリームを……と、分けて頂くのが最適と思っています。

     そのあたりはまた、別の機会にそれぞれを見て頂きながらご案内できればな、と思っています。



     アンティーク然としたこういう雰囲気は、やはり少し色が変化した部分がある位の方が、合いますね。

     と、思いのほか長くなってしまいましたが、CIRCLEにてご販売させて頂いたシルバーなどに関しては、勿論メンテナンスも承ります。akihamaのアクセサリーの経年変化を戻したり、時計の表面の輝きを取り戻したり……、出来る限りのことはして参りますので、お気軽にお声がけ頂ければと思います。

     時とともに過ごす金属。是非お愉しみ頂ければと思います。
     
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