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2021.06.12 Saturday

Circus of Happinessで用いる英国産ブライドルレザーについて。(革案内、エイジング案内)

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     昨日よりご案内しております、クラウドファンディングのプロジェクトで初めを行うCircus of Happinessのブライドルレザーシリーズ。

     

     概要はどうぞ昨日のブログもお目通しいただきたく思います。

     

     今日は、今回用いる英国産ブライドルレザーについて。

     

     皮革そのもののご案内と、一緒にエイジングの良さに関してもご案内です。

     

     

     Circus of Happinessでかつて用いていた英国産ブライドルレザーはとても高品質で、ハリ感がぐっと強く、使い込んでいくと美しい艶が生まれ、多くのお客様からお褒めいただけていました。

     

     その頃は実は、イギリスの2つのタンナーのブライドルレザーを、その時々に風合いが良いものを選んでいたものでした。

     

     今回のクラウドファンディングのプロジェクトで復活するブライドルレザーは、またその頃とは異なるブライドルレザーとなります。

     

     これがまた、独特な質感とブライドルレザーらしい質感が相まって、非常に良い風合いでお楽しみいただけるブライドル。

     

     

     ブライドルレザーはざっくり言ってしまえば、革をなめす際に油分だけでなくさらにロウ成分をじっくり染み込ませて鞣すことで、ぐっと革の強度や魅力が増すように作っているレザー。

     

     イギリスが古くから主に馬具に用いるために鞣していて歴史が長く、現代ではイギリス以外の国でもブライドルレザーは作られていますが、やはりイギリス産、英国産ブライドルレザーにはどこか特別なものを感じます。

     

     もちろん革を鞣すタンナーによっても、またどの部位を用いるのか、どんなタンニンで鞣すのか、どれくらいロウを染み込ませるのか、ロウ以外の油分をどれだけ含ませるか、それぞれで細かな製法は異なるものですが。

     

     今回用いるブライドルレザーは英国産としても、他の国のブライドルレザーを含めてもちょっと独特な部分があります。

     

     それがむしろ、すごく良い部分なので順次見ていきたいと思います。

     

     

     ブライドルレザーは初期タンニン鞣しのあとに表面からもオイルやロウを染み込ませていくために、革の表面をわずかに削り、そこからブライドルオイルを擦り込んでいきます。

     

     さらにその後に表面を綺麗に整えて仕上げていく。

     

     そのオイルやロウの成分の兼ね合いで、一般的なブライドルレザーは結構ガッチガチに固くなってしまうものですが、今回のブライドルレザーは革そのものの硬さが硬すぎない。

     

     ぐっとハリ感はあるものの、ほどよくしなやかさがあり、なおかつしっかりロウやオイルが中に染み込んでいる。

     

     それゆえ、革を曲げた時にブライドルレザーではヒビ割れが起こることがある中、今回のブライドルはヒビ割れにかなり強く、滑らかな質感で楽しめる感覚があります。(実際にサンプルを使っていても、ヒビ割れがほとんど起こらず。)

     

     それでいてしっかり表面にブルームと呼ばれるロウの成分が初めはしっかり浮き出してきて(個体差、季節による差があります)、ブライドルレザーらしい風合いもばっちり。

     

     とってもバランス良い質感を持ったブライドルレザー。

     

     

     左側が磨きをかける前の保管していたブライドルレザーから切り出した状態の革。

     

     革一枚一枚によっても差がありますし、寒い季節の方がブルームが浮き出てきやすいとかもありますが、ぐっと白い粉が表面にあります。

     

     これは、そのまま使い込んでいってもしっかり馴染んでいって表面の艶になってくれますし、白っぽさが気になるな〜という場合には右のようにブラシや柔らかい布などで磨いて、初めのブルームは落としても構いません。

     

     いずれにしても中にはしっかりオイルとロウ成分が染み込んでいる証として楽しんいただきたい部分です。

     

     

     こちらでは右側がブルーム出ている状態、左側は磨いた状態です。

     

     製品になった時にもブルームは初め結構ついていたりします。

     

     

     カラーは4色をラインナップしています。

     

     こちらがブラック。ブルームが強いと下の色がわからないくらいにぐっと強いこともありますが。

     

     磨いてしっかり下の部分を出すと、ブラックはぐっと深いしっかり黒。

     

     そしてここから使い込んでいくと、ツヤツヤとした美しいブラックに育っていきます。

     

     

     ネイビーも初めはブルームがあるとやはり淡く見える。

     

     でもしっかり落としていくと、青みがぐっと感じられて、なおかつ深く美しいネイビー感が顔を出す。

     

     

     ウィスキーはブルームがあってもまだ明るめの色味ゆえに、はっきりカラーが伝わります。

     

     でもしっかり磨いていくと、ロンドンタンでもなく、ダークブラウンでもなく、キャメルとも異なるほんのり赤みを感じる茶色感が極めて綺麗。

     

     

     そしてグリーン。グリーンもブルームがあっても緑感ありますね。

     

     落として見えてくるグリーンは、イギリスらしいブリティッシュなグリーン。

     

     濃すぎず、明るすぎず、奥深く落ち着いた風合いのグリーン。

     

     

     今回のブライドルレザーはしなやかさだけでなく、この色にも特徴があります。

     

     ブライドルレザーの多くは、表面の部分にだけ染色で色が施されていて、中や裏面はベージュの革床面そのままのカラー。

     

     しかしながら、このブライドルレザーは芯通しの染色が行われていて、皮革の中や裏面まで下地としての色がしっかり入っている。

     

     これが今回のシリーズではとても大切なことでした。

     

     

     芯通しをしていないブライドルレザーの欠点は、長く長く使い込んでいく中でどうしても表面がヒビ割れたり、スレていった際に、下地のベージュ的な色味が見えてきてしまう。

     

     それはそれで味わいといえばそうなのですが、使い込んでいっても色のヒビや下地を気にせず使えるブライドルがあれば「より長く美しく使っていただくには一番だ」、と思っていました。

     

     今回のブライドルはどの色味もある程度下地が芯通しで染まっているので、仮に長いあいだ使い込んで表面がヒビ割れたりスレて下地が少しずつ見えてきたとしても、違和感なく引き続き長く綺麗に使っていけます。

     

     

     横から見ると、こんな具合。しっかり中まで染まっていますね。

     

     この仕上げのブライドルレザーになってくれると、利点がもう一つ。

     

     

     小物に仕上げた際のこのコバの仕上げを、そのままのテイストで磨き仕上げにすることが出来る。

     

     ブライドルレザーで製品を作った時に、仕上げをする前のコバ面はどうしても基本ベージュ面が多くなります、中まで染まっていないので。

     

     そうすると、フノリなどで素磨きをしてより自然に革の風合いを活かしたコバに仕上げようとすると。ブラックやネイビーの革小物でもベージュになってします。

     

     手段としては別の染料で染めて磨いたり、あるいは顔料を乗せてコバを仕上げても良いですが、Circus of Happinessの革小物では基本的にはできる限り革を生かした素磨きで仕上げたいことがあり、この芯通しの仕様が非常に良い。

     

     コバに染料を塗って磨くと、そこが擦れていくとやはり下地の色は見えてきますし、顔料も同様に顔料が落ちていくとポロポロと下地が見えてきてしまう。

     

     でも中までしっかり染まったブライドルレザーをそのまま磨いて小物が作れれば、その心配なく長く綺麗に使える、と。

     

     

     そんなわけで、今回のブライドルはほどよい硬さとしなやかさ。

     

     さらに芯通しによる中や側面までしっかり色の入った面白さ。

     

     加えてもちろん、しっかりオイルとロウが染み込んでいることで生まれるブライドルレザー特有のブルームの楽しさや、エイジングで豊かな輝きも楽しめる。

     

     非常にバランスの良い、様々な角度から味わい深さを感じられるブライドルレザーになっています。

     

     

     ブライドルレザーとしてやっぱり革単価の価格は、相応に高いもので。

     

     Circus of Happinessの定番のブッテーロ等と比べても、倍とまでは言わぬまでも1.5倍近くはゆうにしてしまう。

     

     それを外装だけでなく内装にもフルにブライドルレザーを使って製作していくので、どうしてもちょっと贅沢な感じになります。

     

     お財布類は外装に使う革の面積よりも、内装に使う面積のほうが圧倒的に革量が多くなる(例えば、長財布等だと内装は外装の3倍くらい革を使ったりします)ので、内装までブライドルレザーでばっちり仕上げると、なかなかの高コスト。

     

     でも、表だけでなく中までこの質感を楽しめるのがやはり面白く風合い良いですし、内装も同じブライドルにすることで、芯通しによるコバ面の磨きで仕上げられる利点や、このブライドル独特な硬さとしなやかさのバランスを全体で楽しめると思っています。

     

     

     それではこのブライドルレザーのエイジング、どんな風に使って育っていくのか。

     

     実際にサンプルでしばらく使ったものをご覧いただきながら、ご案内。

     

     こちらはミニ三つ折り財布のブライドルレザーネイビー。

     

     左下の革が使う前のさらにブルームが出ている状態。

     

     右下がブルームを落とした状態。

     

     そして上の製品がおよそ7〜8ヶ月ほど毎日ガシガシとCIRCLE店主がラフに使い込んでいった状態。

     

     ブルームの落ちたては優しい艶がありつつ、ほんのりマット。

     

     使い込んでいくと、ぐわっと驚くほど艶やかに育ちます。

     

     

     ここからスタートして……

     

     

     こにツヤ感。もちろん、年単位でゆっくり使っていくと、よりツヤ感と革の風合いは深く高く育っていきます。

     

     これ、久々に「いや、良い光沢出てくれるなぁ」と感心したほど。

     

     

     メンテナンスに関しては、基本は日々手で撫でたり、軽く乾拭き程度。

     

     その上で、季節に一回、あるいは半年に一回くらいで良いかと思いますが、好みに応じて無色の革クリームで磨いてあげると、こんな具合でぐぐぐっと素晴らしい艶に包まれます。

     

     色合いもトーンが深くなり、でもネイビーの良い青さはしっかり感じられるようになっていく。

     

     あ、クリームはCIRCLEとしての推奨は「モウブレイのアニリンカーフクリーム」ですが、クリームにロウ成分が多めに入っているものであれば、もちろん他でも大丈夫です。

     

     

     ブライドルレザーはよく手入れがいらないと思われることもありますが、そこは好み。

     

     手入れをするとそれはそれで、また良い具合にエイジングの美しさとして今回のブライドルレザーは応えてくれます。

     

     あまり頻繁にクリームを塗りすぎるとペタペタするので、ほどよく間をあけてその間は乾拭きや手で撫でながら、たまにクリーム塗って……と繰り返すと、非常に素晴らしい表情になる。

     

     

     良いブライドルレザーの光沢感は、やはり特別。

     

     また他の牛革とは違う美しさが感じられます。

     

     

     ギラギラとキラキラのあいだのような、力強さと上品さを合わせたような、ブライドルレザーの風合い。

     

     その絶妙なエイジングの良さも、今回のブライドルの素敵なところ。

     

     男女問わず、きっとこの輝きは気に入っていただけるはず。

     

     

     このサンプルはCIRCLE店主が使っていたわけですが。

     

     まぁポケットに突っ込みっぱなしにしていたり、基本すごくラフに使っていました。

     

     それでもしっかり強く、美しく育ってくれた。

     

     

     エイジングを丁寧にしてくださる方が使うと、もっともっと美しいと思います、はい。

     

     でも、そこまで気にせずガシガシ使っても、ばっちり綺麗に育ちますよ!ということで。

     

     

     コバ面に関しても、たまにクリームを塗って磨いてあげると良いツヤ感が出てきます。

     

     こうして横から見ても色の印象が統一されてくれるので、やはり今回のこの芯通しのブライドルレザーはスタイリッシュで良いと思う。

     

     

     従来の丘染め(表面だけに色を染める)のブライドルレザーでは、こうはいかない。

     

     あらゆる角度からエイジングを楽しんでいけるシリーズです。

     

     

     もう一つ、ミニL字ウォレットのグリーンも、やはりサンプルでこちらは8〜9ヶ月ほど、店主ではない別の方に使い込んでもらったものです。

     

     右下がブルームのある初めのグリーン。

     

     左下がブルームを落としたグリーン。

     

     そして上の艶やかな子が言わずもがなの使った状態。

     

     エイジングにはすごく丁寧に育ててくれる方にお願いしたわけですが、ものすごく美しく育ってますね。

     

     

     この渋さのあるグリーンが……

     

     

     ぐぐぐっと深く、まるで表面に艶の膜が覆ったようにすら見えるくらいに、透明感のある艶が感じられる。

     

     色合いもトーンがやはり深くなり、より表情が豊かに見える。

     

     

     光のよく当たる角度だともう、光沢の強さがすごい。

     

     綺麗に育てるとこんな感じになります(笑)。

     

     

     また、この裏面に関してはちょっと実験をしてエイジングさせてくれました。

     

     しっかりオイルやロウが入っているならきっと大丈夫なはず……と、水拭きをしたり、なんとアルコールでがっつり拭いたりしてくれたそうです。(どうぞ真似はなさりませんよう……基本は良くないことなので、アルコールは。)

     

     そこまでしても、手で磨いていると自然と光沢が結局出てきて、なめらかな風合いに育っていってくれてます。

     

     想像以上にタフさもあるブライドルレザーだったので、これを聞いて見たときは驚きました。

     

     そりゃCIRCLE店主が普段ラフに使っても綺麗に育つわ……と。

     

     

     コバ面もこんな具合でしっかり統一感あるグリーンが見えて良い。

     

     

     あまりにも光沢感が美しすぎて、もはや手に持つと指が革の表面に色も含めて映って見えるくらい。

     

     これは、単純にすごい。

     

     

     もちろんまだまださらに長く使っていくことで、より立体感や奥行きのある風合いが出てくるはず。

     

     光沢感もさらに潤いを帯びて、美しく強く輝いていく。

     

     まだまだエイジングの途中、さらに進みます。

     

     

     真似しないでくださいね、の水拭きどころかアルコールで拭いたりもしてから、使い込んでのエイジング。

     

     しっかり色合いは濃くなり、こちらも良い艶が生まれる。

     

     強い革です。

     

     

     見ようによっては、どこかコードバンかのような安定感のあるツヤ感。

     

     

     いかがでしょうか、あまりにも文句なく素晴らしい質感に育っていく、今回のブライドルレザー。

     

     ハリ感としなやかさのバランス。

     

     色合いのしっかり良い発色感と落ち着き。

     

     中まで色が芯通しで染まった面白さ。

     

     そしてもちろん油分やロウ分がしっかり入っているからこそ、長くお手入れしながら使っていって美しく変化していくエイジング。

     

     やっとここまで納得できる革で、納得できるシリーズが作れるというところになりました。

     

     ここから先のさらなるエイジングは、どうぞ手にしたみなさまが楽しんでいただけたら嬉しいものです。

     

     

     ブラックとウィスキーも同様です。

     

     ブラックはさらに黒さが洗練され、深くなり、驚くほど艶が感じられるように育ちます。

     

     ウィスキーももちろんツヤ感が全体を覆いながらも、色合いは少しずつ濃くなり、独特なほんのり赤みのある深い茶色に育っていく。

     

     ラフにざっくり乾拭きをするだけで育てていくも良し。

     

     季節に一回や半年に一回くらいの長いスパンの中で、クリーム塗布をして磨いたりメンテナンスをして育てていくも良し。

     

     お好みで、自分だけの歴史を刻んだ姿に育っていきます。

     

     

     お手入れに関しては、ご自身で難しい場合にはCIRCLEの店頭でももちろん承ります。

     

     お時間いただきつつ、必要に応じてクリーム塗布や磨きを加えていきます。

     

     長く美しく使っていただきたい、ブライドルレザーです。

     

     

     どうぞこれまでの「よく見かける」ブライドルレザーとはまた絶妙に良い意味で異なる、「さまざまなバランスが良い」ブライドルレザーの愉しみを感じていただけたら幸いです。

     

     やっぱりブライドルレザーって素敵だね、と。

     

     そんな風に育てていただけたら嬉しく思います。

     

     クラウドファンディングは18日(金)19時より、こちらの「うぶごえ」さんにて行います。

     

     どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

     

     

     

     CIRCLE

     

     

     

    コメント
    いつも楽しく見ています。
    今回のプライドルもいい感じですね。
    サークルの製品は大好きです。
    少し気になったのですが、今回タンナーを公開されていないのは何か理由があるのですか?
    • 相馬
    • 2021.06.14 Monday 15:13
    相馬さま
    ご覧くださりありがとうございます。
    今回タンナーさんを出していないのは、革卸さんの意向だったりします。
    細かいところはメールやお電話、店頭ではお話出来るので、
    宜しければお問い合わせください。
    よろしくお願いいたします。
    • CIRCLE青山
    • 2021.06.16 Wednesday 15:11
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