<< ブライドルレザーのエイジング定点観測(経年変化観測) | main | ようやく、レイルロードジャケットが心地よく着れる季節。 >>
2014.09.07 Sunday

綿のスウェット生地について(吊り裏毛・裏起毛)

0


     今日は久々に、素材的なおはなしを。秋冬のふっくら暖かなアイテムとして(勿論、春ごろも活躍するのですけれど)、CIRCLEでは今年はスウェット素材がやはり素敵だなと思い、少し早めの夏頃から展開をしています。

     スウェット生地、と言えどもやはり種類やつくりが異なり、それによる特性がそれぞれあるもの。

     CIRCLEで入荷したスウェットはWORKERSの吊り裏毛のものと、1sinの裏起毛のタイプ。

     ちょうどそれぞれが違う魅力と特性を持っているので、まだ少しですが在庫があるうちに、スウェット生地について。

     ここにあとは、リバースウィーブが古着などで加われば、ほぼスウェットの基本が揃ってしまいますが、リバースウィーブはまた今度何かの時に。
     

     綿のスウェット生地は、昔からアメリカでも日本でも愛されてきました。広くは「トレーナー」なんて呼ばれながら、ファッションシーンだけでなく日常生活の中に溶け込んできたもの。

     「スウェット」という名称そのものは「汗」を意味する言葉から着ていて、「セーター」の語源と同様です。日本ではいつの間にかスウェットという衣類のように扱われていますが、本来はスウェット生地、という具合に生地のことを指しています。

     現代ではスウェット生地でシャツやジャケットを作ったり、スニーカーに用いられたりもするので、随分とそういった生地としての認識も広くなったとは思いますが。
     でもまぁ、「スウェット」と聞くとやっぱり、パッと思い浮かぶのはスウェットシャツ、いわばトレーナーかもしれませんね。

     そんなスウェット生地。今は様々な雑誌などでも取り上げられることが多いので、既に多くの方がご存知かもしれませんけれど、現代的な高速編み機もあれば、旧式のゆっくりとした旧式編み機、そしてさらにゆっくりと生地を吊りながら編んでいく吊り編み機などを使って編まれ、糸から私たちのよく知る生地の形になります。

     そのそれぞれで異なる性質、趣があり、もちろん「どれが一番優れている」なんてものはありません。それぞれの生地の特性を理解し、風合いが愉しめれば良いわけで。デザインや型にあった素材があり、つくりがあるのが普通です。
     CIRCLEとしてはそんな風に思っています。



     WORKERS 吊り裏毛スウェットシャツ グレー ¥13,500+税 ネイビーツートーンも同価格

     まずは、現代でまたその生地の柔らかさや着心地が随分と再評価されてきた、吊り編み生地。

     WORKERSさんのゆったりと優しいスウェットシャツは、まさにその旧式吊り編み機で編まれているもの。

     全体としてゆるりとしなやかで、触った瞬間にその滑らかさに驚かされるもの。



     生地を吊りながら、ゆっくりとゆっくりと糸を編み上げて行くので、自然糸がリラックスした状態で編まれ、糸と糸の間にふんわりと空気が多く含まれる組織となり、そのおかげでしんなりと柔らかい素材感が出来上がります。

     その素材感は非常に魅力的で、特にこういったゆたっとリラックスした風合いのスウェットには、ものすごくよく合いますし着ていて心地よいものです。
     が、吊り編み機はものすごく編むのがゆっくりなので、現代の高速の丸編み機などと比べると、その生産効率はおよそ20分の1くらい。比べると、異常なくらいに非効率。

     とはいえ、効率だけを重視するわけではないからこそ、魅惑的なモノづくりというものはあったりもします。吊り編みはその分かりやすい例の一つなのかも。



     そして、吊り編みで仕立てたこのスウェット生地は「裏毛(ウラケ)」の状態。

     表の天竺ニットとして織られた面に対して、裏側はいわばタオルのパイルのように、ちょっと太めの糸で細かくループがつくられます。このループの集まりの面が、いわゆる「裏毛」の状態。

     吊り編み機で織られた裏毛は、そのループがとっても柔らかく肌に気持ちよいのです。素肌にそのまま着ても、全くストレスを感じないくらい。

     こうして見るとループがちょっと分かりづらいですが……



     こんな角度だと分かりやすいでしょうか。

     裏毛はほどよく保温性もあり、それでいて軽やか。シャツの上にも羽織って頂くことを前提としたこのスタイルのスウェットには、ズバリの好相性。

     吸湿性も高く、汗をかいてもほどよく発散してくれる。まさにスウェットとしての優れた機能性。

     この吊り編みは機械が行っていることではあれど、実は人の手がものすごく重要で、人の手無しでは編み上げられないもの。機械はもちろん自動で動いてはくれますが、その編みの構造の難しさから、本当に絶妙な調整をしていないと、生地がうまく編まれない。

     ループを取り編んで行くヒゲ針の具合から、編むスピードや実際に編まれている順番など、常に目を光らせては手で調節をし、じっくりと編まれて行くのです。機械式なのですけれど、なんだか手作りのような勢いの生地というわけ。



     表の天竺部分、裏毛の部分、そしてそれを繋ぎ合わせるように編まれる部分。そんな3種類の糸行程で生まれるスウェット生地は、優しく暖かい。

     特に吊り裏毛のしなやかさは、なかなか他の生地では表現の出来ない独特のもの。

     年々、編み機そのものも少なくなれば、しっかりと編むことが出来る人たちが少なくなってしまってきていることも事実。徐々にそれを守ろうという空気が、ファッション業界の中でも広がりつつありますが、それでもまだまだ。

     こういった素晴らしいモノを無くしたくないなぁと、CIRCLEは思います。それには、素材の良さを知って頂くのがお店の出来ること、とも。



     ちなみに、WORKERSさんのスウェットの表面の方を、アップで見てみました。

     白っぽい糸の部分もあれば、グレーらしい色、そしてやや濃い黒っぽい色などが、ほどよくムラになって生地色を構成しているのが分かりやすいかと思います。

     杢グレーという色も様々ですが、WORKERSさんのスウェットの杢グレーは中間くらいの明るさ。Tシャツは、かなり濃いめでしたね。



     リブの部分はまた異なる構成をしていて、色合いとしても少し明るめ。

     スウェットにはリブは必須要素。あまりギュギュっときつすぎない具合のリブになっていますので、リラックスして着て頂けるものになっています。

     それこそ、昔のチャンピオンのリバースウィーブなどは、ものによってものすごいリブがギュッとしていたりして、ファッション的に活躍の場を選んだもの。まぁ、元はスポーツ用として存在していたわけなので、致し方ないことですが。

     さて、そんな吊り編みの生地に対して……



     1sin 旧式編み機スウェットパーカー MELLOWNESS ¥14,200+税

     1sinさんのメロウネスフーディーで用いられた生地は、「裏起毛」のタイプ。

     吊り編み機で編まれたものではなく、丸編み系の編み機。ですが、現代の高速なものではなく、かなり旧式のやっぱりゆっくりとしたペースで編み上げて行くもの。吊られているか、そうでないかの差と言いますか。

     もちろん、機械が異なるものなので風合いは異なります。また仕上げとして裏面を毛羽立たせ起毛させているので、なおさら。

     これはこれでまた、ふっくらとふくよかで、強く暖かいもの。



     吊り編みでない旧式編み機は、しっとり滑らかというよりも、ふっくらふんわりという印象。

     空気を含む具合としては吊り編みのほうが柔らかに仕上がりますが、旧式編み機の場合は少し目が詰まってくれるため、生地そのものがぎゅっと少し強くなるような感じがします。

     実際、現代の高速編み機になると、ものすごく目が硬くなりかなりぐぐっと強くなります。その分、しなやかさや柔らかさは無くなるのですが。ただ、生地としては伸びにくく強くなる。

     その中間くらいが、1sinさんのスウェット生地。適度に柔らかくもあり、モコモコギュっとした強さもある。

     なので、洗濯を重ねてからがまた風合いの変化として魅力的だったりも。表現が難しいですが、モコモコ感がなぜだか増して行きます。より、ふっくら感が生まれると言いますか。



     裏面を毛羽立たせると「裏起毛」。まるでワタのようにふわっふわな質感になるのが、こういったスウェット生地のまた魅力。

     やはり肌に触れた時の優しさが心地よく、何よりも保温性が極めて高い。それでいて勿論、吸湿性はしっかりと。

     そういう意味では、より秋冬の寒さには強い仕上げでもある、裏起毛。ちょっと、初夏まで来ると逆に暑いですが(笑)。



     裏起毛は、長く着て洗ってを繰り返して行くと、少しずつやはり毛の具合は落ち着いて行きます。それはそれでまた、風合いが良かったりも。

     一応、吊り編み機裏毛で編まれた物でも、後起毛という具合で裏起毛に仕立てることは出来たりします。ちょっと珍しいかもしれませんが。それもまた、WORKERSさんと1sinさんの中間くらいの質感になるので、面白いものです。



     そしてこちらが、1sinさんの旧式編み機で編まれたものの表面のアップ。

     まぁ、こうして見るとパッと「どちらが吊りでどちらが旧式編みか」なんてなかなか分からないものですが。

     1sinさんのグレーも淡い杢でありながら、そのグラデーション具合は控えめ。比較的近いトーンの糸の濃淡でグレーが構成されていますね。



     それは、リブの部分も同様。

     濃淡が強い方がどことなく古着感といいますがアンティーク感が出てきますし、濃淡が少なめですとスタイリッシュで今っぽさが出やすい。そんなイメージ。



     スウェット生地と言っても、触って比べると本当にまるで別物なのです。

     こうして重ねて見ても、皺の入り方や曲がり方などがやはり違って、個性が出ます。

     吊り編みはよりドレープ(生地のゆらぎ)が出やすく、現代になっていくにつれドレープよりもハリが強くなっていきます。

     現代の高速編み機で編まれた物は、かなりそのハリ感としては強い感覚。もちろんそれも魅力的ではあり、しっかりとした質感のスウェットを製作したり、あるいはこういった衣類以外に用いる場合などでは、むしろその頑強さが良かったりもします。

     それぞれの素材で持ちうる魅力、そして得手不得手があるもの。愉しんでいきたいですね。



     CIRCLEはなんやかやとスウェット生地そのものが好きなので、色々なシーズンで素敵なものに出会えたら良いなと思っています。

     今度機会があれば、古着のリバースウィーブなんかもちょっとご覧頂きながら、より細かなことを見て行きたいなぁと思ったり。

     これからもきっと、長く愛されていく素材の一つ、でありますように。



     CIRCLE
     
    コメント
    コメントする








     
    Calendar
       1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    262728293031 
    << August 2018 >>
    Selected Entries
    Categories
    Archives
    Recent Comment
    • ル・ボナーさんから久々登場の、天ファスナーブリーフについて。
      CIRCLE 青山 (05/07)
    • ル・ボナーさんから久々登場の、天ファスナーブリーフについて。
      SNK (05/06)
    • 寒くなってまいりました。冬支度はまだまだいろいろ愉しめます。
      CIRCLE 青山 (12/15)
    • 寒くなってまいりました。冬支度はまだまだいろいろ愉しめます。
      SO (12/15)
    • ル・ボナーさんのデブペンケース、久しぶりにどーんと勢揃いです!!
      CIRCLE 青山 (12/08)
    • ル・ボナーさんのデブペンケース、久しぶりにどーんと勢揃いです!!
      Kun16 (12/07)
    • Circus of Happinessのドラーロシリーズのエイジング定点観測 その4
      CIRCLE 青山 (11/24)
    • Circus of Happinessのドラーロシリーズのエイジング定点観測 その4
      ぎんなん (11/23)
    • ちょっとずつ、揃えられるものを揃えて、選んで楽しくなるように。
      CIRCLE 青山 (11/20)
    • ちょっとずつ、揃えられるものを揃えて、選んで楽しくなるように。
      ryo (11/20)
    Links
    Profile
    Search this site.
    Others
    Mobile
    qrcode
    Powered by
    30days Album
    無料ブログ作成サービス JUGEM