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2014.08.06 Wednesday

ブライドルレザーのお手入れについて(推奨クリームや磨きなど)

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     あまりの暑さに驚きを隠せないこの頃ですが、こういった季節になると軽装になっていくため、革小物はどうしても、男性は特にと思いますがポケットに入れたくなることもしばしば。

     とは言えども、汗が多量につくことは革にとってはあまり良い影響を与えないこともあり、真夏のこの時期にうっかり長時間ポケットに入れていると、いつの間にか革の味わいや艶感が妙になくなってしまい、革が曇ってくることも。

     特に植物性タンニンを用いて自然の味わいを残したタンニン革は、そういった現象が現れることが防げないもの。

     Circus of happinessのL字ウォレットやベルトなどに用いているブライドルレザーも、やはり同様です。強度としても強い革ではありますが、きちりとお手入れをすることで良い状態がさらに長く保てます。

     CIRCLEではお買い求め頂いた製品のお手入れは、基本的に店頭で出来る限り行わせて頂きますが、「なかなか店頭まですぐには行けないのだよね」という場合や、「いやいや、お手入れこそ自分で行って、味わいを自分で深めて行きたいよ」という方もいらっしゃると思います。

     そんな時の、お手入れについて。お客様より「ブライドルの手入れは、何を使えばいいの?」というお話も頂いていたこともあり、今回はざっくりとご案内して参ります。

     

     ブライドルレザーやイタリア皮革のブッテーロなどのいわゆる「タンニン鞣し革」と、シュランケンカーフやクリスペルカーフなどの「クローム鞣し革」のお手入れは、少し異なります。

     クロームなめし、とりわけCIRCLEにて多いシュランケンカーフに関しては、基本的にはオイルやクリームを塗って頂く必要はありませんし、普段のお手入れはホコリ落としや乾拭きで十分です。少し汚れが見えるなぁ、と思った際には硬めに絞った柔らかい布で、水拭きしてしまえば綺麗になってくれます。

     その辺りの革ごとのお手入れに関しては、また革の細かいこととは別に、お手入れ法として少しずつブログにてお伝えして行ければと思っています。

     今回は、タンニン鞣しの代表でもある、ブライドルレザー。



     Circus of Happiness 英国産ブライドルレザー・L字ミニウォレット ¥22,000+税

     使い込んで数ヶ月経過してきた、ミニウォレットのブラック。基本的には綺麗に使っていると思いますし、ブライドルレザー本来のじんわりとした深い艶感が出てきてはいるのですが、ちょうどこのごろ何日かに渡って、非常に暑い最中にポケットに長く入れていました。

     それでも革の強さはあり、しっかりと艶はあるものの、部分的にやはり曇りが出てきていました。その実物で、今回はお手入れを実際にしていってご案内。

     難しいことはなにもなく、とってもシンプル。定期的にお手入れをすることで革の良さが引き立ちますし、愛着も沸いてくるというもの。



     こちらのロゴが入っている表面の側にはそれほど汗があたっていなかったので、なんだかんだと着ている洋服の色が映り込んでしまうほど、綺麗な艶が出ています。

     それとは別に……



     裏面に関しては、表面の風合いは決して悪くない綺麗なものの、ところどころに白い曇りが。

     きっと、ポケットにがっちり入れていた際の汗によるもの。

     汗や水分がついた際は、ブライドルレザーは陰干しなどをして水分を発散させて頂くと、さほど気にならないことが多いのですが、今回はちょっと曇ってしまいました。(……ほんとにちょっと、なんですけれど)

     せっかくなので、表も裏も全部磨きます。そして、やや実験的にも。



     磨く前の状態の表裏をもう少し。



     ちょっと曇ってきた……といいながらも、しっかり迫力はあって綺麗なのですけれどもね。

     このくらいであれば、手で撫でながら使っているだけでも、十分に艶はまた出てくるのですが、それではお手入れのご案内にならないので……。



     色々と用意をして、磨きます。

     皮革用のクリームと、磨くためのグローブ(あるいは柔らかい布)、そしてクリームを塗布するための柔らかい布。

     基本は、これだけです。



     ブライドルレザーに対するクリームとしては、CIRCLEでは以下をお勧めしています。

    ・モウブレイ アニリンカーフクリーム
    ・サフィールノアール レノベイタークリーム

     ブライドルレザーは革の中にも、表面からもロウを染み込ませたり擦り込んだりして出来た革ですので、お手入れとしてはそのロウ成分や革の油分などを補填するのが、クリームの役割。

     ロウ成分がしっかりと含まれているクリームなどであれば、他のものでも勿論大丈夫なのですけれど、さまざまなブランドを試して、「これがバランスよく使いやすいな」とお勧め出来るのが、この2つという具合です。
     どちらのクリームもロウがしっかりと配合され、磨きやすいです。

     ちなみに、アニリンカーフクリームは東急ハンズさんや百貨店の靴売り場などで気軽に売っていますし、サフィールノワールも大きなハンズさんやちょっと良い具合の靴修理屋さんなどでは扱っています。



     今回は、ちょっと変わった趣向として、表面をアニリンカーフクリームで……



     裏面をレノベイタークリームで仕上げて、その微妙な差も検証してみたいと思います。



     では、まず表面を。アニリンカーフクリームはやや硬めのクリームとなっています。

     そのクリームを、布に少量取ります。クリームがべったり……ではなく、クリーム付いたかなぁというくらいに少しで大丈夫です。布にクリームをよく馴染ませて下さい。
     (今回はなんだか見た目が良かったので、イギリスから直接買ってきてもらった、セーム革にてクリーム塗布をしました。)



     そして、ブライドルレザーの全体に薄く伸ばすように、塗り広げていきます。

     すぅっとクリームを手早く撫でていくように、あるいは円を描くように広げます。なんにせよ、全体にバランスよく薄くクリームがつけば問題ありません。

     クリームがつくと、革は一時的に艶が無くなったようにマットな表情になりますが、そうした状態で1~2分少し間をあけます。
     (3~4分、とご案内がある場合もありますが、細かい時間はあまり関係ありません。革の表面にクリームを馴染ませたいので、少し時間をおく、というだけです)



     どうしてもお手入れとなると、クリームをたっぷり塗ってさっと磨きたい、なんて衝動にもかられますが、クリームが多すぎてしまうとそれはそれで油分過多になったり、表面に磨ききれずクリームが残ってしまったりするので、革にはよくありません。

     何事もほどほどに……というニュアンス。



     と、ちょっとたったら、ここから磨きです。柔らかい布などで、軽い力で表面をこするようにサササっと速いスピードを意識して、磨いていきます。

     そうすると、表面が次第に艶感を帯びていき、綺麗に輝いてきます。軽い力とはいえど、この艶を出したいのでしっかりと摩擦している感覚はあるくらいです。

     ゴシゴシとあんまり力強く磨いてしまうと、革に余計な傷がついてしまったり、表面が荒れてしまう要因にもなりますので、これもほどほどに。

     素早く、表面をさっと摩擦するイメージ。



     と、布を用いて磨くのが基本的ではありますが、クリームを塗るのも磨き上げるのも、実は柔らかに指の腹で行うのもおすすめです。

     指が摩擦でちょっと熱くなったり、指にクリームや革の香りがついてしまうのはネックなのですが、ほどよい指の暖かな温度と、力の強さがダイレクトに感じて変えられるので、綺麗に磨くことが出来ます。

     慣れが必要ではある話なのですが、色々な状況で繰り返して慣れてくると、意外と布よりも指のほうが、お財布などの小物では最終的な仕上がりが綺麗だったりもします。(もちろん、バッグや靴の場合は違うこともありますけれど……)

     店主はいうと、自分のものはやはり指で磨いています。さすがにお客様のものはグローブを用いますけれども……やっぱり気になるとは思いますので。
     無論、グローブや布で磨いても綺麗に仕上がりますので、この辺りはお好みで、というところ。ちなみにCIRCLEで用いているグローブはムートンになっており、羊さんの毛で磨いているような感じです。



     と、アニリンカーフで表面を磨いた様子がこういう具合。

     うーん、やはりお手入れすると表情がまたぐっと引き締まり、力強い艶感が出てきます。まだ風合いも豊かに、ツルリと整います。

     色を反射するどころか、色々と映り込みそうになるので撮影がちょっと大変なほど。

     アニリンカーフクリームはロウと油脂、それを溶剤で混ぜたクリームですが、磨きにつかうと「やや硬質」な輝きが出てきます。がしっと、ハリ感のある風合いとでも言いましょうか……。

     その雰囲気が、ブライドルレザーには非常に合っており、見違えるように顔が整うのでおすすめしています。しかも、アニリンカーフクリームは非常にコストパフォーマンスも良く、他のタンニン系のレザーでもお使い頂けます。



     幾分固めのクリームですが、靴や家具などにも使用できますので、一つあると様々な磨きに便利です。

     ブライドルレザーの空気がピンと張るような、良い輝きですね。



     では、続いて裏面をサフィールノワールのレノベイタークリームで。

     レノベイタークリームは、アニリンカーフに比べてもっと柔らかい、乳化タイプのクリーム。どことなく、整髪剤のような柔らかさ。

     これも、やはり同様に布地に馴染ませるように少量取ります。

     柔らかいクリームなので、量が多すぎたりしないよう、少しずつ少しずつ布に擦り込んで調整して頂くと良いと思います。



     そして、ブライドルレザーの全体に馴染ませていきます。

     レノベイタークリームは柔らかいためすすっと伸びてくれます。薄く伸び終わると、その部分は逆にぐっとクリームは固めになります。

     全体に薄く馴染ませることで、表面はやはり一時的に白く曇ります。



     ここでまた、ふぅっとひと呼吸。

     ちょっと飲み物なんかでのどを潤して頂いて……それから磨きに突入です。



     アニリンカーフクリームの際と同様に、優しく、でも表面に摩擦が与えられるように、サササッと磨いて行きます。手早く、素早く動かします。

     すると、こちらも次第に表面の曇りがなくなっていき、艶感を帯びてきます。



     で、もちろん指でも構いません。



     そうしてレノベイタークリームにて磨き上げたのが、こういう裏面。

     アニリンカーフクリームに比べると、どことなく優しく柔らかい、「やや軟質」の雰囲気の艶が全体を覆うような仕上がりです。
     レノベイタクリームは蜜蝋にラノリン(これもロウ成分です)、そして少量のミンクオイルなどが入っているため、どことなくしっとりとオイリーな空気に。

     その分、艶の角がなく、カーフのような雰囲気の艶が出ます。



     この仕上がりに関しては、お好みによるところと思います。

     ガッシリ、いかにもブライドルというような強い質感がお好きな場合にはアニリンカーフクリームを。

     しっとり、潤いのある優しく柔らかい質感がお好きな場合にはレノベイタークリームを、というような。

     ちなみに、レノベイタークリームも基本的なレザー製品には、もちろんお手入れに使って頂けます。靴はもちろんですし、家具などでも。
     ちょっと独特な香り(フランスでは良い香り、という感じなのかもしれませんが)がありますので、始めの内はちょっと香ります。



     いずれを用いて頂いても、ブライドルレザーとして必要なロウ成分や油分は、しっかりと補填出来ます。ものすごく頻繁に磨く必要はありませんが、例えば季節の変わり目や、一年の終わりや、もしくは今回のように、汗や雨や外的要因によって表面が少し元気がないかな、という時などにさっと磨いて頂くと、また綺麗に革が愉しめます。

     ごく個人的な好みとしては、ブライドルの雰囲気が強くでるアニリンカーフクリームをコスト的にもおすすめしていますが、もしお手入れがお好きな方はどちらもお試し頂いて、お好みに合わせてその時々で愉しむのも良いかもしれません。

     と、こんな風にブライドルレザーはお手入れして頂くと、また愉しいもの。

     「自分ではちょっと心配かな」という場合には、もちろん店頭で磨かせて頂きますので、お声がけ下さいませね。

     革や他の素材でも色々なお手入れは、CIRCLEで出来る範囲のことであれば、いろいろとさせて頂きます。それがまた、愉しいと思うので。

     良いモノを、良い状態で、愉しく使って行きたいものです。



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