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2014.06.29 Sunday

綿Tシャツ生地の織りについて

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     入荷してから、様々な方にご覧頂いていては、独特の質感で愉しんで下さっているWorkers(ワーカーズ)の杢Tシャツ達。

     Tシャツにも様々な織りがあり、Workersさんのそれはちょっと特徴のある天竺生地。

     そんなTシャツ生地について、少しご案内出来ればと思います。
     

     Tシャツ(ニット)の生地には大きく分けてしまうと、3種類に分けられるかと思っています。

     一つは、先ほど名前を挙げたいわゆる定番の「天竺(てんじく)」。それに対して主に襟などに使われやすい「フライス」。そしてもう一つが、やはりTシャツ定番の滑らかな質感の「スムース」。

     そのそれぞれに特徴があり、面白さがあり、そういう部分を見て行くとWorkersさんのTシャツの天竺の愉しさも増えようか、というところです。



     「天竺(てんじく)」は、Tシャツの中でも定番的に愛される生地です。

     一般的にいえば、縦横を交互に糸を交わわせながら、表面と裏面の違いがはっきりと出る平織りの生地。表面から見ると縦向きに糸の流れが分かりやすく見え、裏面に関しては表と異なる目の流れをするので、表裏がきっちりと分かりやすいのが特徴的。

     比較的、生地の伸びが少ないながらも、横向きにはほどよく柔らかに伸びてくれるため、体にフィットさせたいTシャツとしては、理にかなっていることもあり、よく使われます。

     基本的には太い糸では16番手、細い糸では40番手くらいまでを使用して織られます。16番手で織られると肉厚でざっくりとやや固い風合いになるものが多く、40番手までくるとかなりしなやかなものが多くなります。

     ところで、WorkersさんのTシャツは12番。かなり太い糸で実は織られているのです。でも、ふっくらやわらか。

     そこは、Workersさんの選んでいるコットンと、独特な織りがあってこそと思っています。

     本来はスウェットの表面を、ゆっくりとゆっくりと編むための機械を用いて織られているため、糸と糸の間にしっかりと空気が含まれやすい天竺になっています。その上、適度に表と裏の力のかかり方がランダムになるため、ほどよくデコボコ感のある織り目になっています。

     そのデコボコ感も生地を柔らかさを強調する具合になっているというわけです。

     ですので、一般的な「天竺」織りの生地よりも、肌に触れた質感は妙にふわっと柔らかく感じるはずです。どちらかというと、まるで「フライス」に近いような天竺なのです。



     それに対して、「フライス」という生地に関しては、多くはTシャツの襟の部分に用いられたりします。
     WorkersさんのTシャツはボディと共生地をバインド仕立てにしていますが、よくボディに対して襟はみょーんと伸びて首が通しやすいものなどがあると思います。あの首の部分は「フライス」織り。

     いわば、セーターなどでいうゴム編みに近い部分がありますが、その目をとっても粗くして、ふんわり伸びるように仕立てるような。天竺よりも表面と裏面の区別が付きにくく織られるものです。

     もちろん伸びがあるため、着心地という意味では肌にも心地よいのです。が、良い部分は逆に悪い部分にもなりうるのですけれど、伸びやすいということは、たくさん着込むとみよーんと伸びてきやすいのも事実。独特な伸びがあるので、ミシンでもやや縫い伝い傾向があります。

     体にぴったりとさせたい場合や、スポーツ向けジャージや子供向けなどの場合は、その伸びはプラスに働きますし、素敵なものです。

     ただし、肉厚でしっかりとしたボディを作りたい、となると異なるニュアンス。

     どことなく、Workersさんの天竺はスウェットのトップを編むようにしているからか、そのフライス的なニュアンスが微妙に感じられます。心地よいくらいの伸びがあると言いますか……。

     それは実際に、触って体感してみて頂きたいところです。



     そして、最後の一つが「スムース」。織りとしては「フライス」のように表裏の区別がつきにくく、非常に滑らかに平たい表情になるのが特徴的です。その表面のスムースなところから、名前はついているよう。

     一般的には「スムース」の生地は天竺よりもやはり幾分伸びが良く、柔らかいものが多いというもの。ですが「フライス」と異なるのは目を詰めて織られるため、その目の度詰め具合によっては、意外にしっかりと伸びが少なく、がしっとした生地にも出来ます。いわば、「天竺」と「フライス」の中間、といったニュアンスでも良いかもしれません。

     やはり表面が滑らかなだけあり、柔らかな着心地としては「スムース」はとても優秀。「天竺」とも「フライス」とも異なる、シンプルに肌触りが良い織りです。

     ごく個人的には、この「スムース」で度が詰まったTシャツなどもとても好きです。

     3種類のそれぞれの特徴はありながらも、やはり着心地や質感は好みが分かれるもの。

     Workersさんの天竺はそういう意味でも面白いと思っています。肉厚な天竺なのに綺麗に柔らかく、妙に心地よい具合。



     天竺の表目が分かりやすいかもしれません。しっかりとラインが出ています。

     ところで、ついでと言ってはなんですが、これだけアップで撮影をすると撚り杢(よりもく)のムラ感のある表情が、どんな風に形成されているかも分かりやすいです。

     アップで見るとどんどん続いているはずの糸が、白かったり青かったり、あるいは中間くらいの色味だったりとその時点でムラがあるのです。

     それを織り上げていくと、全体の中でその色ムラがランダムに起こるので、杢模様に見えるというわけです。この糸段階で色をきっちりと撚ることで、自然な杢色が出来ます。



     それはグレーの方も同じことです。白い糸かと思えば黒くなり、黒かったと思えばまた白くなり……と。

     この撚り杢という技術は、綺麗で自然な杢が出せる反面、もちろん糸の段階から手間がかかるので、現代ではなかなか少なくなりました。

     自然な溶けるような杢模様を目指して、こだわっていかなちと作れないもの。



     ちなみに、Circus of Happinessの撚り杢ヘリンボーンも同じようなニュアンス。

     糸の段階でやはり白から黒からグレーっぽい色など、ムラ感のある杢状態にしておきながら、その糸でヘリンボーン柄を織る。

     すると、本来なら規則正しくきっちり並ぶだけのはずのヘリンボーン柄が、ほどよくランダムに崩れ、色も固くならずにほっこりと溶け込んだ柔らかい色味になるのです。

     これも、今となってはそうそう出来ない織りの一つ。



     と、話が少し杢にもそれてしまいましたが、そんな風にTシャツには織りにも様々があります。

     天竺だから良い、フライスだから良い、スムースだから……というような優劣があるものではありませんが、それぞれの持つ特徴を、うまく形に馴染ませてあげてあるTシャツは、素敵です。

     巷では、どうしても価格だとを重視して、洗ったらすぐにヨレヨレになってしまったり、肉厚なのは良いけれど今度は固すぎてしまったりと、極端なものが増えてきているようにも思います。

     様々な綿や織りの特性を感じながら、ほどよいバランスのTシャツを愉しめたら、と思います。

     WorkersさんのTシャツは、CIRCLEとしてのその第一弾。色々と、これからも考えて行きたいと思っています。
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