KUON(クオン)の古布唐草・グリーン裂き織りカーディガンについて。
裂き織りのカーディガンと言えば、KUONさんではシグネチャーラインとして襤褸と共に、シーズンによって様々な空気のカーディガンを作ってきました。
CIRCLEでも何着もこれまでにお願いをして、ヴィンテージ裂き織りのものや、襤褸浴衣で作ったネイビー裂き織りや、お客様からのオーダーで裂き織りをいろいろ検討して作ったことも。
今回のグリーン裂き織りのカーディガンもその流れ。
ある種18AWシーズンとしての扱いなので、準シグネチャーという感覚でもありますが、これがまた独特なオーラを放つ。
KUON 古布唐草グリーン裂き織り カーディガン Sサイズ ¥180,000+税
全体的な形はこれまでのシグネチャーカーディガンと基本は同様。
ちょっとサイズ感などが変わり、SサイズではありますがS〜タイトMといった感じの大きさになりました。
グリーン裂き織りの表情が極めて複雑で、豊か。
渋さを感じることもあれば、色の美しさを感じることもあり、独特な存在感あるカーディガンに。
プライスに関してはちょっとリーズナブルになった。単純に古布の価格推移だったり、KUONさんの製作背景によるところだと思うけれど。いずれにしても、少し着やすい感じに。
色とりどりのグリーンと、ホワイトもまたトーンが様々。
細かく柄が切り替わるそのさまは、本当に新たな迷彩柄を生み出したかのよう。
でもその雰囲気は美しく、抽象画的なアートのようにも思える。
裂き織りはそれが面白い。
古布である唐草風呂敷を裂き、それを横糸としながら織りあげていく。
そもそもの古布自体が様々な時間を経て今に残っているから、グリーンと言えども色合いが本当にいろいろ。
明るい緑もあれば、深い緑もあれば、グレーがかったものもあれば、ちょっと青みがかったものだってある。
そういった全てが入り混じって出来る表情は、唯一無二。
もちろん、二つとして同じものは存在しません。
しかもKUONさんのこのカーディガン、コレクションに出ていたものは別として(あれはたぶんLサイズとか)、国内での生産はCIRCLEのオーダーのみになったそうな。
つまるところ、海外は置いておくとして、日本国内でグリーン裂き織りのカーディガンはこの1枚。(もともと多くを作れるものではないから、海外もそう多くないはずだけれど)
なんともまぁ、特別感溢れる一着として届いた。
そりゃそうか、とも思う。KUONさんを取り扱う店舗は全国で言えば増えていても、普通にシグネチャーライン的なものをボンと頼み続けているのはCIRCLEくらいのもので。
この特別感は他に絶対に無いからオーダーするけれど、お店としては価格も価格なので勇気がいるのだろうな、と思う。
ともあれ、このグリーン裂き織りの面白さ。
見れば見るほど、様々なグリーンで構成される。
ホワイトの柄部分だって、時間経過による色の変化があるから、一定ではなく様々なトーンが。
唐草風呂敷を一枚ずつ裂いていって紐状にし、そこに淡いイエローとブラック系の糸を交差させて、裂き織りへ。
言葉にすれば単純かもしれないけれど、それはひたすらに時間と手間がかかる仕事。
長い時を経てきた素材を、改めて生き返らせるような、そしてさらに新しい魅力をプラスするような仕事。
KUONさんはアップサイクル、という言い方をするけれど、裂き織りはまさにそのアップサイクルの古くからある日本の形、だと思う。襤褸も同様。
グレーっぽい緑の色が入るのが、個人的に好き。
ただの緑な感じではなく、奥行きと陰影が生まれる。
唐草と言っても、その姿はもうどこにも無い。
あるのは新しい存在のランダムな色と柄。
この計算できない動きは、やはり面白い。
カーディガンなので胸の開きも重要。
綺麗な空き具合で、下にはカットソーでもシャツでも。
首回りなどのパイピングは茶色。これがまたよく似合う。
かなり細かな起毛したコーデュロイのような感覚。
これまでのものよりも目がさらに細かくて、さらっとした肌触り。
ボディはふっくらとゆとりあるフォルム。
ズドンと大きいわけでなく、ふわっと軽やかに羽織る感じ。
KUONさん独特なカーディガン。
グリーン裂き織りはそれほど硬さはなくて、しなやか感あるのでそれもまた良い感じ。
フロントはボタンでの開閉。
もうこういうアングルで見ると、やっぱりアートな裂き織り。
ボタンはホーンボタンで、ちょっとヴィンテージっぽい感じに加工されているボタンで。
腰部分にはポケットが。
実用でももちろんですし、手をぎゅっと入れて佇んでも素敵。
裾はフラットな感じで、前部分だけ動きやすくカーブ。
アームホールや腕は比較的タイトめ。
キュッと要所を締めることで、ぶかっと大きいスタイルにならず、綺麗に見える。
袖ももちろん表情豊か。全身で裂き織りの風合いを感じられる。
やっぱりそれなりにしなやかなので、腕も動かしやすいです。
袖先はボタンは一つで開閉可能。
パイピングももちろんされているので、肌触りも良い。
右腕と左腕だって、表情はまるっきり同じではない。
全ての部位で、同じ部分は二つとないのです。
他に無い唯一無二なことが良い、とそれだけでは当然ないけれど、でもやっぱり特別感はあるわけで。
さらに着込んでなじませていくことで、自分だけの一着に育っていく。
前を開けると、中はコットンで総裏地。
白ではなくベージュっぽい感じの色合いで、柔らかいコットン。
袖裏まで全て裏地なので、暖かさもしっかり。
内側の裾部分にも、裂き織りはあしらわれていたりします。
これまでの裂き織りカーディガンともまた異なる趣がある。
後ろ姿もとても美しく。
やっぱりグレーっぽいグリーンがあることで、この裂き織りは全体が良い塩梅なのだよな、と感じる。
一見すると派手に見えるやもしれないけれど、これが羽織ると全然派手じゃ無い。
すっとボトムはほぼなんでも合わせやすくて、羽織るだけで渋く良い雰囲気が出る。
軍パンばかりは色の兼ね合いで合わせないかもしれないけれど、黒系茶系グレー系、同じ系統の色以外はなんでもござれ。
それこそKUONさんの泥染パンツやコーデュロイパンツなんかも合うでしょうし、シンプルにジーンズでも良い。
藍染系のパンツも素敵でしょうし、グリーンってやっぱり便利です。
真ん中で生地切り替えのラインが入り、左右対称と思いきや、もちろん対称になることは素材的にありえないので、細かく動きが違う。
秋冬だけでなく、春にも綺麗に着ていただける色だと思います。
世界的にみてもきっと数着。
日本ではコレクションのものを除けば、ただ一着のカーディガン。
どんな方が袖を通してくださるだろう。
正直、今シーズンの裂き織りカーディガンはやたら価格的にお得感がすごい。
安いと言える絶対価格ではないけれど、生地にかかっている手間や時間、そしてそもそもの古布、製作は一着ずつ手裁断での熟練の職人でと思うと、これで良いのか、と思ったりする。
今シーズンはヴィンテージ裂き織りのタイプもMサイズで一着だけ近々ご案内しますが、そちらはこのタイプよりもやはり高い。
本来はそっちの価格じゃないの?と思ってしまうのだけれど、まぁこの価格で頑張るというのだからありがたく。
どうぞ、お楽しみいただけたら幸いです。
きっと他にはない愉しみを感じていただけると思います。
CIRCLE
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